1.研究の目的及び意義
ST上昇型急性心筋梗塞は、急性期死亡率が高い疾患であり、一刻も早く閉塞した冠動脈を再開通させることで死亡率を低下させることができる。病院の入り口を通過してから90分以内の再開通がガイドラインでも推奨されている。再開通の方法は冠動脈インターベンション(PCI)の効率が良く、死亡率も合併症も少なく第一選択と位置付けられている。すると、いかに短時間でPCIを成功させるかは、患者の死亡率にもかかわる重要なステップであり、さらなる改善が必用とされている領域である。
左右両用カテーテルは、左冠動脈にも右冠動脈にも挿入が可能のため、カテーテル交換の時間を短縮することが可能なはずである(1)。IKARIカーブは、左右両用カテーテルとして現在っもっともすぐれたカテーテルと考えられている(2-5)。すると心筋梗塞の再灌流時間の短縮に有用であると考えられる(6)。
2.研究の科学的合理性の根拠
東海大学で行った、単施設後ろ向き研究において、動脈穿刺から再灌流までの時間は、平均25分から15分に短縮され、入り口から再灌流の時間は63分から55分に短縮された(6)。本研究を多施設後ろ向き研究として確認する。
3.研究の方法
(1)試験デザイン:多施設後ろ向き、2群間比較試験
(2)評価項目
主要評価項目
Primary PCIにおける穿刺から最初のデバイス通過までの時間
副次的評価項目
病院のドアから再灌流までの時間
30日死亡率
主要評価項目に影響を与える因子
4.研究対象者の選定方針
(1)研究対象者
ST上昇型急性心筋梗塞にてPrmary PCIによる治療を受けた症例
(2)選択、除外、中止基準
1)選択基準
①年齢21歳以上99歳以下
②ST上昇型急性心筋梗塞
③発症12時間以内にPrimary PCIが開始された
2)除外基準
①心原性ショックを合併する例
②心停止合併例
③透析症例
④その他、研究責任者または分担者が不適当と判断する者
3)中止基準
①研究参加辞退の申し出や同意撤回のあった場合
②その他の理由により、研究責任者または分担者が研究の中止が適当と判断した場合
5.臨床研究実施期間と目標症例数
予定研究対象者数 1200例
60例 X 20 施設
【設定根拠】
東海大学で行った、単施設後ろ向き研究において、動脈穿刺から再灌流までの時間は、平均25分から15分に短縮された。平均10分の差で、標準偏差11.7分、有意水準0.05、検出力0.9とすれば症例数は60となる。これを全国で20施設から登録し、有意差を検証でき多施設、できなかった施設の比較とその要因を検討する。
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