症例4ー右冠動脈CTO例/70代女性

Case

9年前に狭心症にて、3枝病変に対し冠動脈バイパス術を受けた。この時点で右冠動脈は完全閉塞であった。バイパスは、LITA-LAD、SV-Cx、SV-RCAの3枝であった。
バイパス手術後は狭心症が治っていたが、9年たって、数か月前から労作性狭心症が再燃した。
冠動脈造影では、右冠動脈への静脈グラフトが完全閉塞であった。もちろん、右冠動脈も完全閉塞であった。

冠動脈造影

右冠動脈完全閉塞/9年以上の閉塞で石灰化+左回旋枝より側副血行路あり

静脈グラフト完全閉塞

右冠動脈 6F IL3.5 TFI/左冠動脈 6F IL3.0 TRI

アンテグレードガイドワイヤーは真腔へ通過せず

レトログレードアプローチ

回旋枝から側副血行を通過させた。
Fielder FCを用い、Finecross MG 150mmを勧めた。その先端を矢印で示す。

レトログレードガイドワイヤーは、病変を通過し、アンテグレードのガイディングカテーテル内に挿入した。マイクロカテーテルをそれに伴いアンテグレードンのガイディング内に挿入し、3mの0.010インチガイドワイヤーに交換した。3mのワイヤーはレトロのガイディングから入り、アンテのガイディングから体外へ出て、いわゆるpull-throughの形を作ることができた。

ステントを3本植え込んだ。

最終造影

まとめ

9年以上経過した古い慢性完全閉塞病変(CTO)に対し、2本の6F Ikari L ガイディングカテーテルにてレトログレードアプローチにより成功した。
Ikari LのPower positionを学べば、バックアップ力は7Fに匹敵するため、6FでのCTO治療は可能と考える。